今回お話するのは
警察の職務怠慢
姫路2女性殺害事件
です。
兵庫県警って不祥事が多い気がしますが、神奈川県警とどっこいどっこいですかね?
姫路2女性殺害事件とは?
2005年1月9日に兵庫県姫路市で発生した2人の女性の行方不明&バラバラ殺人事件のこと。
2名の女性が行方不明の後殺害された事件だが、兵庫県警による職務怠慢が問題となりました。
そして、この事件の特徴は「被害女性の遺族と元刑事が事件をほぼ解決」した点。
警察はほぼ何もしなかったことです。
- 犠牲者: 2名
- 犯人: 死刑判決
事件の流れ
姫路2女性殺害事件の事件発生から男の逮捕までの一連の流れを見ていきましょう。
- 捜索願提出
- 遺族の捜査開始
- 一度目の任意捜査
- 二度目の任意捜査
- 男の逮捕
この順番で見ていきましょう。
1月20日 捜索願提出
1月20日に
- 当時23歳の女性会社員Aさん
- Aの友人23歳の専門学生Bさん
が行方不明になりました。
このことを不安に感じたAさんの家族は姫路警察所に連日相談をしました。
ただ、担当刑事は
年間1200人もの捜索願が出ている。忙しいので相手にはできない。
と相手にすることもせず。
さらに、連日の相談に怒った担当刑事が、家族に電話機を投げつけようとしたこともあったとか。
1月22日 遺族の捜査開始
この警察の対応にAさんの家族は「警察はまともに対応しない」と判断。
知り合いのつてで、兵庫県警元刑事の飛松五男さんが担当しました。
そして、家族の元に記録として残っていた高柳和也(Aさんが連れてきた、偽名を名乗っていた男。当時39歳)の調査を依頼することにしました。
1月29日 一度目の任意捜査
男の居場所を突き止めた飛松氏は、姫路警察に通報すると同時に張り込みを開始。
姫路警察の2名の刑事とAさんの両親が男の家の家宅捜査を開始。
生活安全課の総括係長が任意で室内に入った時、一人の女性がいました。
ただ、彼はその女性はAさんやBさんとは無関係だと、そのまま帰ろうとしました。
1月29日 二度目の任意捜査
その時男の部屋に許可を得て入ったAさんの母は
- スタンガンや異臭
- カーペットの血痕
- 意識が朦朧としていた女性
という異常事態だったので、再度総括係長に部屋の確認をさせました。
しかしこの時も係長は「異常はない」として帰ってしまいました。
1月30日 男の逮捕
係長が帰宅した後、不審に思った両親は飛松氏に依頼しさらに調査。
すると、覚せい剤をしているような反応をしめしたので、男を問い詰め警察へ通報。
1月29日に任意同行し、翌日の1月30日に男を「覚醒剤取締法違反」で逮捕されました。
5月10日 男の再逮捕
逮捕後約3か月後の4月12日に高柳和也は犯行を認めました。
1月9日夜に、自宅でハンマーを使って2人を殺害した。遺体は切断して海と山に遺棄した
と供述。
5月10日に「死体遺棄容疑」で再逮捕し、5月20日に「殺人容疑」で再逮捕されました。
その後、AさんとBさんの遺体の一部
- 遺骨
- 腰と肩
のみが発見されて、頭部は未発見のままでした。
警察の不祥事
事件は明らかに警察の不祥事、職務怠慢が酷いです。
この事件はそもそもAさんの両親と元刑事の飛松氏が解決したようなもの。
職務怠慢1 | 2名の捜索願が出ていたのにもかかわらず「年間1200人の捜索願で出ているから、いちいち相手には出来ない」と一蹴。 連日の依頼に対し、担当刑事が電話機を両親に向かって投げつける。 「書き込み欄がいっぱいになった」という理由で調書を取るのをやめる |
職務怠慢2 | 高柳和也の自宅にて「スタンガン」「血の付いたカーペット」「拘束器具」「薬物」「意識の朦朧とした女性」がいたにも関わらず「異常なし」と帰ったこと |
誤報道 | マスコミへの発表に対し「風俗勤務している」など嘘の情報を流した |
一部遺族側が話を盛っているとしても、職務怠慢、不祥事が大問題となりました。
当然、この一件を受けて警察は遺族に謝罪。
遺族の前で土下座で謝罪し、その様子を隠しカメラでとらえられています。
事件の裁判
ここでは姫路2女性殺害事件の裁判についてお話をしていきます。
- 前科持ちと犯行動機
- 第一審(死刑判決)
- 第二審(控訴棄却)
- 最終判決(死刑判決)
それぞれ見ていきましょう。
前科持ちの犯人とその犯行動機
高柳和也容疑者は事件を起こす以前にも交通事故を起こしています。
その事故では「主婦と娘」を死亡させて実刑判決に処されています。
今回の事件の犯行動機はいたって短絡的です。
Bさんの殺害については
資産家という嘘をついていたことで、女性から金銭を要求されトラブルになった。かみそりを持ってきた女性ともみ合いになり、とっさにハンマーで殴った。殺意はなかった。
とし、Aさんについては
Bさんの殺害現場を見られたから殺害した。殺意はあったが、ハンマーで殴ったのは1度だけ
という犯行動機。
女性との間にどのような関係があったかは別としても、二人を殺害してその遺体をバラバラにして遺棄したという事実は変わりません。
第一審(弁護と検察の主張)
2005年8月11日に始まった公判で弁護側は
「Aさんの殺人については殺意はなく、傷害致死事件」「相手が襲い掛かってきたのだから、正当防衛が成立する」
と無罪を主張しましたが、高柳容疑者が弁護団を全員解任したので公判は長引くこととなりました。
2008年9月16日に検察は
極めて自己中心的で残忍かつ悪質な犯行。殺意を持ってハンマーで多数回、頭部を殴打したのは明らか。
と断定し、死刑を求刑しました。
第一審の最終判決
2008年11月18日の最終弁論で弁護側は「死刑回避」を求刑。
犯行は計画性がなく、偶発的で、両被害者の頭を1回だけ殴った。無期懲役刑で40年以上服役の例もある。死刑は重過ぎる。
そして、高柳容疑者は「二人に謝りたい。遺族には深い傷と悲しを与えてしまいました。」と謝罪。
ただ、五十嵐裁判長は判決において
自分が資産家であるとの嘘が発覚すれば、報復されると恐れていたところ、女性から髪を掴まれたことで激高し、犯行に及んだ
と犯行動機を認め、
動機は極めて自己中心的。二人の尊い命が奪われた結果は重大であり、罪を軽減しようとして供述を二転三転させるなど、罪を償う意識が乏しい。被害者らの受けた肉体的・精神的苦痛、無念さには想像を絶するものがある
と指摘し、弁護側の「自己防衛が成立する」という点には
被害者がカミソリで襲い掛かった形跡はなく、殺害現場の跡から二人の頭部をハンマーで複数回にわたって殴るなど強い殺意が認められる。
と「自己防衛は成立しない」とし、「偶発的犯行」の点には
計画性がないことを過大に考慮することはできない。ましてや犯行の様子は非常に凶暴で残忍極まりない。遺族の処罰感情も厳しく、犯行の重大性を真剣に受け入れようとしない被告の様子から、更生の余地は乏しい。
と断定しました。
そして、2009年3月17日に死刑判決が言い渡されました。
第二審
2010年2月3日の控訴審初公判において、弁護側は
被告は知的障害があり、心神耗弱である。精神鑑定を受けさせてほしい。 さらに、彼の殺害順序が検察の証拠と、被告の供述では違う。 突発的な犯行で計画性はなかった
と苦し紛れの言い訳のように聞こえるが、こう主張しました。(検察も「理由がない」として控訴棄却を請求)
これに対し、第二審の湯川裁判長は
動機は理解可能であり、犯行後、被害者に連絡を求めるメールを送るという生存を装う工作を行っている。証拠隠滅を図るなどして犯行の社会的意味を理解している。完全責任能力が認められる。
この上で、「確定的殺意に基づく残忍な犯行。一審判決は不当とは言えない」と控訴請求を棄却しました。
最終判決
2013年10月3日に、最高裁弁論で弁護側は
被告は知的障害を抱えているので、責任能力の有無には疑問がある。1審2審は責任能力の判断を誤っており、量刑も重過ぎる
と改めて無罪を主張し、検察は
基礎学力は多少乏しいが、責任能力には何の問題はない。残忍な犯行は極刑が相当する
と主張しました。
これに対して、最終判決は
強固な殺意に基づく凶暴で残忍な犯行。身元判明を防ぐために2人の遺体を徹底的に損壊させ、海中に投棄するのは非人間的行為に他ならない。また、被告は不合理な弁解を続け、真摯な反省は見られない。たとえ計画性がないことを考慮しても、被告の刑事責任は極めて重大であり、死刑判断は認めざるを得ない。
と高柳和也容疑者の死刑判決を決定しました。
高柳和也は大阪港拘置所に収監されることになった。
(被害者の頭部は未だに発見されていない)
まとめ: 姫路2女性殺害事件はこんな事件
今回はバラバラ殺人事件の姫路2女性殺害事件について紹介させていただきました。
警察がここまで怠慢なのに、自分たちにはしっかりしろとかどの口が・・・・。
という訳で今回のまとめ
- 姫路2女性殺害事件は2005年1月9日に発生した殺人事件
- 2人の女性を高橋和也が殺害し、バラバラに
- 両親の捜索願を警察はまともに取り合わず
- 両親と元刑事が高橋和也の自宅を特定
- 同署の警察が確認(不審な点が多いのにそのまま帰る)
- 麻薬取締法違反で逮捕後に、事件が発覚
- 警察は「二人は風俗で働いている」と嘘をマスコミに
- 警察は遺族に土下座謝罪
- 犯人は死刑判決