今回お話しする事件は
救いのないバラバラ事件
藤沢悪魔祓いバラバラ殺人事件
です。
藤沢悪魔祓いバラバラ殺人事件の概要
藤沢悪魔祓いバラバラ殺人事件は1987年2月25日に発生した事件。
神奈川県の藤沢市で発覚したこの事件。
警察が現場に突入した時も犯人が被害者をバラバラに解体していたという、狂気的な事件でもあります。
犯人は被害者の従兄弟とその妻。
二人それぞれに懲役刑が確定した事件です。
死者1名
藤沢悪魔祓いバラバラ殺人事件: 犯人と被害者「茂木政弘」
被害者は真面目な茂木政弘(事件当時32歳)。
不良であった犯人の男(以下A)とは従兄弟同士であり、信頼関係はかなり高かったそうです。
Aが大山祇命神示教会に入信した際も、茂木さんは「Aが入信するなら」と即座に入信する。
その後、茂木さんの弟が事故で入院していた病院で、彼は准看護婦として働いていた女性(以下B)と知り合い、結婚しました。
この後、3人とも教会から脱会し、茂木さんはBと結婚し埼玉県に転居。
犯人のAも実家で仲睦まじく暮らしていました。
藤沢悪魔祓いバラバラ殺人事件: 事件の流れ
では、こんな仲睦まじく暮らしていた3人に、一体何があればこんな事件が起きるのか?
- 狂い始めた犯人達
- 茂木さんの殺害
- 被害者の解体
- 犯人の逮捕
順番に見ていきましょう。
狂い始めた犯人
事件現場の藤沢市のアパートに部屋を借りていた茂木さん。
夫婦の元にAが突然現れてこう言いました。
自分に神が舞い降りた
この世は悪魔だらけ
悪魔を追い払う救世の曲を作れるのはお前だけ
お前は音楽でこの世をよくするために神から遣わされた使いなんだ
ちなみに、彼らが元々所属していた教会には「悪魔」「悪魔祓い」といった言葉は存在していません。
ですが、Aはもしかしたら神の存在を信じていく内に狂っていったのかもしれません。
のめり込む夫婦
茂木さんは元々、Aさんへの信頼が高かったこともあり、この言葉を信じ切ってしまいました。
また、この時
- 茂木さんとBの間に別れ話が出ていたこと
- ロックバンドの解散話などのトラブル
もあり、Aは「悪魔の仕業なんだ!!」と言い出し、茂木さんも「悪魔が憑りついていたんだ。祓ってくれ」と言い出しました。
茂木さんはロックバンド仲間の静止を振り切り、「救世の曲」の制作に熱中していきました。
茂木さんの殺害
事件発生年の2月22日にの午後。
茂木さんはBさんも加わって、Aと向き合うようにして悪魔祓いを行った。
その方法は
- 3本のろうそくに火をつけた「祭壇」の前で
- にらめっこをしたり
- 体に塩をすり込み
- 茂木さんが目を逸らさなければ悪魔がさる
というものでした。
茂木さんは最後まで目を逸らすことはありませんでした。
しかし、Aは「悪魔が出ていかなかった。肉体が死ななければ悪魔も死なない」と茂木さんの殺害を決意。
BもAの言葉を疑わず、茂木さんの首を絞めるAを手伝って殺害しました。
被害者の解体
茂木さんを殺害し、悪魔は死んだはず。
Aは「悪魔を追い払えば生き返る」と信じていたそうです。
しかし、AとBは「悪魔がまた帰ってくるかもしれない。再び乗り移らないようにしよう」と茂木さんの遺体をバラバラにし始めました。
茂木さんの作曲した「救世の曲」を聴き、口ずさみながら
- 3日間ほとんど眠らず
- 体をハサミやナイフでバラバラに解体
- 頭蓋骨に塩を詰め
- そいだ肉や内臓は排水口に流す
という狂気的な行動を行っていたそうです。
犯人の逮捕
2月25日、通報により警察がこのアパートの部屋に突入した際。
そこには異様な光景が広がっていました。
室内ではカセットテープから流れる音楽を聴きながら、2人の男女が一心不乱に男性の遺体を解体していた。
警察が止めようとしても、解体作業を止めず、「悪魔、悪魔」「悪魔祓いをしている」とうわごとのようにつぶやき続けていました。
AとBは死体損壊容疑でその場で逮捕され、事件は一旦幕を閉じました。
藤沢悪魔祓いバラバラ殺人事件: 裁判と判決
AとBの逮捕で一旦の幕を閉じた事件。
その裁判はどうなり、どのような最終判決となったのか見ていきましょう。
- Aの精神鑑定
- Bの精神鑑定
- 最終判決
この順番で見ていきましょう。
Aに出された3つの精神鑑定
Aには以下の3人の鑑定官による精神結果がだされました。
このところが少しややこしいので要約します。
甲 | 精神分裂病であり、「責任能力はない」。 感応精神病には近いが厳密には違う。 側頭葉てんかんではない。 |
乙 | 「救世の曲」の共有からくる感応精神病であり、責任能力に著しい障害あり。 精神分裂病ではない。 側頭葉てんかんではない。 |
丙 | 側頭葉てんかん患者であり、宗教的な支配感にとらわれていた。責任能力は多少の低下である。 精神分裂病ではない。 感応精神病ではない |
三人の鑑定官による鑑定もそれぞれバラバラです。
Bに出された2つの精神鑑定
Bには2人の鑑定人による結果が出されました。
- 乙鑑定: 「三人精神病」で責任能力はない
- 丙鑑定: 「宗教的支配観念」に囚われており、責任能力は多少の低下(責任能力あり)
こちらも、お互いに反対となるような鑑定となってしまいました。
最終判決
1992年5月13日に、横浜地裁は事件の詳細と精神鑑定の結果を全て踏まえた結果。
- 2人には責任能力がある
- Aに懲役14年
- Bに懲役13年
を言い渡し、Aの控訴が東京高裁で控訴棄却されたことにより、事件は幕を閉じました。
まとめ: 藤沢悪魔祓いバラバラ殺人事件はこんな事件
これは正直今まで調べてきた殺人事件の中では、犯人の狂気度がかなり高い事件でした。
神を信じるならまだしも、死が救済であるとして他人を殺害してしまうのはあってはなりません。
という訳で今回のまとめ
- 藤沢悪魔祓いバラバラ殺人事件は1987年2月25日に発生したバラバラ殺人事件
- 被害者はロックバンドのリーダーの茂木政広で、犯人は彼の妻と彼の従兄弟
- 犯人は「悪魔がこの世にいる」「お前は悪魔から世界を曲で救うんだ」と妄想
- 被害者ものめり込んでおり、独自の悪魔祓いを受けていた
- 「肉体が死ねば悪魔も死ぬ」と、妻と従兄弟は茂木さんを殺害
- 「悪魔が肉体に取りつかれないようにする」としてバラバラにして塩をぬったりしていた
- 警察が到着した時も、うわ言を呟きながら解体していた
- 妻は懲役13年、従兄弟は懲役14年となった