今回お話しするのは
広島で起きた殺傷事件
江田島中国人研修生8人殺傷事件
です。
ちょっと長い名前ですが正式名称です。
江田島中国人研修生8人殺傷事件とは
江田島中国人研修生殺傷事件とは2013年にで発生した連続殺傷事件のことです。
名前だけ聞くと最初は「中国人の研修生が8人も殺傷されたのか!!」と思うかもしれませんが逆です。
中国人研修生が8人の人間を殺傷した事件であり、正確には
- 2名が死亡
- 6名が重軽傷
という痛ましい事件。
この事件は「外国労働者の扱い」や「低賃金」などが原因となっていますが、本当の動機はなんなのか?
事件の発生から順番に見ていきましょう。
そもそも中国人研修生とは何なのか?
中国人研修生は「技能実習生」ともいい、1993年に導入された制度で、日本に来た中国人のことです。
「技能実習」や「研修」といった職業の技術をお金を貰って習うという制度で、祖国に帰ってからもその技術を活かせるよねといったメリットがあります。
ですが、安い報酬で働かせれるということで文書の改ざんや劣悪環境などなど、問題点が多いです。
経営者からしたらありがたいんでしょうが、当然相手も同じ人間であり低賃金で酷使すれば問題だって発生します。
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江田島事件: 犯人の陳双喜氏の経歴
この事件の犯人でもある「陳双喜(ちん・そうき)」氏は事件当時30歳の方。
中国の遼寧省(北朝鮮の上の方の省)の出身で、事件発生の前年は違う職場で。
その職場が不正をしていたので、事件発生の約半年前の2012年9月からこの工場で勤務。
当たり前ですが、ちゃんとした「技能実習生」の方です。
妻子持ちで、息子の為に日本へ
中国では、トラックの運転手をしていたが主な仕事は農家。
とある女が「技能実習生」の話を持ち出し、借金をしてでも日本へ出稼ぎに。
おそらく、この部分は闇が深く、彼は詐欺にあったと考えれます。
日本でどれだけ安く働かされても、中国の2~3倍以上の賃金を貰える。
日本で働けば、実家に大量に送金できる。
あなたを技能実習生として送るには、ある程度資金が必要。
借金をしても、日本で働けばすぐに返せる。
こういう感じで騙されたんでしょう。
この技能実習生を送る機関も、この資金を多く搾取して不当な利益を得ることも多いです。
借金も年利18%という高利貸しから、詐欺の被害に遭ったと・・・・。
日本語が上手ではなく職場に馴染めず
当たり前ですが、日本で働く技能実習生といえ、日本語を直ぐに日常会話レベルまで話せるわけありません。
日本の外国語を全く勉強していない人に、「ドイツ人しかいない職場で働いてね」と言われても不可能に近いです。
この双喜さんも、事件の職場では日本語が上手ではなく、孤立して一人で食事をすることも多かったそうです。
事件後、彼の私物のノートには日本語の単語がたくさん書いてあり、必死に頑張っていたことが伺えます。
謙虚で真面目
また、双喜さんは真面目で謙虚なところがあったそうです。
日本語のノートの件でも真面目な感じは伺えます。
仕事も、過酷な漁であっても、早朝から被害者の方と一緒に仕事を頑張っていたいう証言もあります。
他に、漁が上手くいっていた時のボーナスで20万を手渡された時は「受け取れないよ。こんな大金」と断ることも。
自分なら喜んでもらっていますが、彼は受け取らなかったそうです。
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江田島事件の流れ
それでは江田島中国人研修生8人殺傷事件の流れを追っていきましょう。
- 犯行前
- 事件発生
- 事件後~逮捕
の順番で追っていきたいと思います。
事件前
事件発生当日の朝、双喜さんは被害者の経営者に仕事のことで怒られていたと・・・。
さらに、自分の部屋を出る時も、従業員の人たちの「陳君」といった話声が聞こえてきた。
自分が社長に怒られたり、孤独を感じていたことで、「自分の悪口を言っているんだ」と不満を募らせていたが、ここにきてそれが爆発寸前であった。
そして、仕事を体調不良と称して怠業し、無断で外出しようとしたところを経営者に怒られたことで怒りが爆発し、犯行に及んだ。
事件発生
事件が発生した時、彼は無言で経営者たちを襲った。
- 経営者: 胸に複数の刺し傷、頭をスコップで複数殴られ死亡
- 女性従業員: スコップで頭を殴打され死亡
2名の死亡者を出し、その他6名が重軽傷を負う事件となった。
彼は犯行直後に、事件現場を通りがかった軽トラックに襲い掛かり、助手席のガラスを2回殴るなどやけくそ気味な行動をしています。
事件後~逮捕
事件を起こした後、彼はスコップやカキ用の工具で自傷行為をしていた。
警察が駆け付け、彼は結局逮捕され、事件は6人の重軽傷者を出し、2名の死亡者を出して一応の終わりを迎えました。
ニュースによっては重軽傷者が7人になっていますが、これは加害者が自分で自分を自傷していたのを含めているからかもしれません。
公的には「重軽傷者6名、死者2名」です。
江田島事件: 本当の動機はどれなのか?
当初、「経営者や職場の職員への不満が爆発した。待遇が悪く、人のように扱われなかった」というのが動機では?と考えられていました。
ですが、証言では
- 経営者は双喜さんと言い争うことは多かったが、面倒はよく見ていた
- 「おいしいお米を食べさせたい」とお米を分けてあげた
- 経営者も「今日もきつく叱ってしまった」とこぼすほど
とパッと聞くだけ、見るだけでは経営者と陳さんの間は険悪とは言いにくいです。
ですが、あくまでもこれは第三者から見た場合の印象です。
経営者は胸を数回刺され、頭をスコップで数回殴打されています。
心理学をやっていなくても、常日頃から恨みが積もっていなければここまで行わないということぐらい分かります。
陳さんの家族関係も影響か?
経営者さんとの仲が良かったかどうかはさて置いといて。
陳さんは2月末に涙ぐみながら他の実習生に
「妻が息子を置いて、他の男の家に住んでいる!」
と相談しており、時には
「中国人、みんな悪い!!」
と叫ぶときもあったと。
妻の不倫疑惑も確定ではなくとも、精神的にはかなり来ます。
それに加えて中国語のない日本での厳しい職場や、孤独感、社長との口論。
犯行に及ぶ動機としては、「様々な要因が重なり、自暴自棄になり、社長との最後の口論が火種になった」ではないでしょうか?
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江田島事件: 事件の裁判
裁判では
「凄惨な犯行。遺族の処罰感情は強く、死刑も考えられる」
と検察側は訴えていましたが、
「外国での仕事で孤独感に襲われていた環境を考えれば、死で償わせるのは適切とは言えない」
と無期懲役を求刑していました。
当然、被害者遺族は反発し、代理弁護士は
「理不尽な犯行で肉親はもう帰ってこない。犯人は死刑でなければ正義はない。死刑をお願いします。」
と死刑を求刑しました。
江田島事件: 事件の裁判の最終判決
江田島中国人研修生8人殺傷事件の最終判決は、3回の公判を経て「無期懲役」となりました。
双喜氏は3回の公判の内
- 1回目: 拘置所で暴行事件を起こし出廷せず
- 2回目: 出廷
- 3回目: 不規則発言により途中退廷
となっています。
彼は質問に対しては
「取り返しのつかないことをした。申し訳ありません」
「なぜこんなことをしたのかは分からない。」
などと殺害の意志や動機は不明と発言。
双喜氏と検察が共に控訴せず、彼の無期懲役判決は確定し、事件は幕を閉じた。
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事件後の影響は?
事件後、広島では「外国人市民支援会議」を設置して、実習生との交流を行うなどしています。
ですが、技能実習生全体の待遇がよくなったかと言われたら、疑問です。
やはり、「低賃金労働力」というのは経営者からしたら助かるもので、分かってはいても沢山受け入れるものです。
今回の件は中国でしたが、ベトナム人の方でも暴力事件などを起こすケースもあります。
事件の影響が全国に波及して改善したかたと聞かれたら、答えは聞くまでもないとおもいます。
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まとめ: 江田島中国人研修生8人殺傷事件はこんな事件
今回の事件は調べていくと、何とも言えない事件でした。
たとえ、何があっても人を殺すということは許されませんが、「借金まみれ」「妻も不倫しているのでは?」「職場に居場所がない」「日本という異国の土地」。
これだけの要素が加われば、発狂してしまうのも無理はありません。
簡単には解決しないのが「外国人労働者問題」です。
という訳で今回のまとめ
- 江田島中国人研修生7人殺傷事件は広島で2013年3月に発生した事件
- 中国人技能実習生が2名を殺害、6人に重軽傷を負わせた
- 加害者は中国で、半ば騙されて借金をして日本で働くことに
- 慣れない環境で孤独を感じていた
- 仕事で叱責され、怒りや恨みが募っていた
- 妻が不倫している疑惑もあり、精神的に参っていた
- 事件の最終判決は「無期懲役」
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