今回お話するのは
アメリカのシリアルキラー
エド・ゲイン
です。
人を殺した人数よりも、その猟奇的な行動によりシリアルキラーと認定されている男です。
エド・ゲインとは?
エド・ゲインは本名「エドワード・セオドア・ゲイン」。
様々な有名ホラー・サスペンス映画、
- サイコ(1960年)
- 羊たちの沈黙(1988年)
- 悪魔のいけにえ(1974年)
のモデルともなった殺人鬼。
ただ気を付けないといけないのは、彼は「大量殺人鬼」「連続殺人鬼」として有名なんですが、殺した人数は確定しているだけでは2人のみ。
彼がシリアルキラーと呼ばれるのは、その異常な性癖や行動所以といえます。
殺人鬼としては、数多く存在するシリアルキラー(大量殺人鬼)の中では大人しい部類。
- 犠牲者: 2人
- 最期: 呼吸不全
エド・ゲインの生い立ち
1906年8月27日にウィスコンシン州中西部のラ・クロス群にて誕生。
家族は
- ルター派思想を持つプロイセン系移民の母オーガスタ
- 重度のアルコール中毒者の父ジョージ
- 仲のいい兄ヘンリー
の4人家族でした。
母はルター派信者の中で特に狂信的であり、物凄く禁欲的であり、性行為に関しては
子作りの為にのみ神から許されたもの
と固く信じ、神と自分自身以外の物にはかなり否定的な人物であったという。
一家は1914年に所有していた雑貨屋を売り払い、その金でプレインフィールドに農地を買って引きこもるようになった。
親の異常な教育
プレインフィールドで引き籠った一家。
オーガスタは子供たちに、毎日聖書の終末が描かれた部分を常に読み聞かせていた。
学校に通わせる一方で、友達を作れば罰を与えていた。
彼女の教育の根本にある思想は単純であり、極端なものであった。
外の世界のあらゆる存在が全て「悪徳」であり、「堕落」したものだ。
というものであり、女性に対しては
若い女は全て穢れていて、「性=悪の象徴または罪の根源」である。
と徹底的に教え、男性に対しては
男性は全て罪人だ。男性機能を嫌悪し、自分の男性器に唾を吐くように
と教え込んでいた。
父を嫌ってもいた母は、自分の息子たちにあまりにも偏った教育を施していったのであった。
兄の不審死
父は1940年に心不全により死去。
ゲインとヘンリーはお互いに支えあって生き抜かないといけなかった。
それ故にお互いの仲は大変良いものと評判であった。
だが、1944年に一家が所有する湿原を野焼きしている時に、2人とも巻き込まれて行方不明に。
ゲインはすぐに見つかったが、兄のヘンリーは消火後に遺体で発見された。
兄の遺体の状態は
- 火傷や外傷が殆ど無い
- 死因は窒息による心不全
- 頭部には複数の打撲痕
という不可解な状態であり、中には「エド・ゲインが兄を殺害した」と疑う人間も多いという
母の死
母のオーガスタは兄ヘンリーの死後間もなくして脳卒中を発症。
その翌年に死去し、残されたエド・ゲインはその後天涯孤独の人間となった。
彼は
- 子守、雑用の手伝い
- 他の農場の収穫手伝い
- 道路工事の手伝い
- 農場経営による助成金
- 農場の切り売り
で生計を立てていった。
農場の切り売りは生活が苦しくなると行っていたが、275エーカーもあった農地は、彼が逮捕された時には半分近くの160までに減っていたという。
約10年ほどで東京ドーム10個分ぐらいという。
エド・ゲインの偏り切った性癖
母を失った彼は母を崇拝し続けた。
母はこの世の誰よりも特別でした。
異常なほどのマザコンであったが、
- 母への異常な愛情
- 厳格で温かく愛してくれなかった母への憎悪
の両方の感情を持ち、「母の体形に近い中年女性」に欲情していったという。
その母への愛か、女性へのつよい変身願望があり、「自分の性器を切り取って」でも実行しようとしたほど。
結局のところ実行はできなかったが、その代わりにある方法を考え出した。
墓から「母に似た中年女性」を掘り起こすことで、母を死から救い出す。同時に解体して自分を愛さなかった母親への復讐を果たし、同時にその死体を解体し、再利用して自分が女性になる
という、あまりにも狂った性癖を実行するようになっていった。
エド・ゲインが犯した殺人
そんな彼は自分の性癖を満たすために殺人を犯していくのであった。
標的としてのは「母の体形に近く、威圧的な性格」の女性であり、そんな彼の条件を満たしていたのが
- バーニス
- メアリー・ボーガン
の2人であったという。
事件の発覚
1954年12月8日に居酒屋(旅館)を経営していたメアリーが行方不明になった。
その後1957年11月16日にエド・ゲインの近くに住んでいた当時57歳のバーニス・ウォーデンが行方不明になった。
目撃証言のゲインがバーニスと居合わせたことと、現場にあったゲイン宛ての不凍液購入の領収書。
このことから武装強盗容疑で彼は別件逮捕されたが、この段階ではまだメアリー殺しは判明していなかったという。
ただ、メアリーとバーニスの状況は非常に酷似していたという。
自白と逮捕
彼は逮捕されて、保安官のアーサー・シューレイが尋問を行った。
その尋問はかなり強引で、取調室の壁に頭を打ち付けるような激しいものであったという。
尋問の結果、彼は「メアリーも殺したかもしれない」と自白し、2人の殺害が発覚したという。
これだけの尋問が行われたのは、家宅捜査で見つかった異様な光景によるものと考えられる。
確かに、後述する光景を見れば誰でも尋問で他の犯行を吐かせようとするとは思う。
家で見つかった異常な光景
警察がエド・ゲインの家を家宅捜査した時、その中は異常な光景であったという。
その光景が彼を「シリアルキラー」として有名にさせ、後世の作品に数多くの影響を与えた元凶であった。
警察が最初に発見したのはバーニスの死体であった。
- 首が切断
- 手首はロープに逆さまに
- 足関節はかんぬきに逆さまに
- 胴体は胸部が引き裂かれて空洞状態
という、狂った状態で彼女は発見されたのであった。
様々な書物類
自宅から数多くの書物類が見つかりました。
- ホラー関係書
- ヌード写真集
- ポルノ小説
- 雑誌
- 解剖学書
などなど、特に解剖学書は彼が人を解体する際に参考にしたものとみられている。
ただ、俗にいう「書物が彼を犯行に駆り立てた」という説はこの場合は当てはまらず、あくまでも
- 「女性の仕組みが知りたい」という動機
- 母親の偏った異常な教育が要因
ということを記しておきます。
人で作った家具・衣類・マスク
確かに、殺害された女性のバラバラ死体も異常だが、それ以上に異常なのは「人の体で作られた家具・衣類・フェイスマスク」などであった。
家においてあった死体は少なくとも8人以上であり、全てが以下のように加工されていたという。
- ゲインの寝台の角の柱に乗っていた頭蓋骨
- 人間の皮で作ったランプシェードと汚れた椅子の上の詰め物
- 一見スープボウルらしき人間の脳天
- 人間の心臓(心臓が発見された場所は、犯行現場にいたカメラマンは紙袋の中にあったと主張しているが、州の副保安官はストーブの上のソースパンの中にあったと報告している)
- 紙袋の中から発見された、地元のバーの主人マリー・ホーガンの顔の皮膚
- 人間の唇を引きちぎって作った窓の日よけ
- 女性の胴体の皮膚で作った胴着
- 複数の乳首から作ったベルト
- 人間の肉で作った靴下
- 人間の皮膚で作った入れ物
- ゲインが身に付けたことを認めた、保存された陰門
- 萎びた人間の頭部の配列
- 人間の皮で作ったベスト、マスク
- 食用に加工
彼は遺体を解体する時はマスクやベストを身に着け、踊り狂いながら行っていたという。
エド・ゲインはこれらの死体を、「新聞の死亡記事」や「近くの葬式への出席」で集めていったという。
また、その加工作業への情熱っぷりは高く、保安官がその精巧さから
実に丁寧な仕事です
と皮肉交じりで語るほどであったという。
その他のおぞましき疑惑
動機に関しては前述したとおりであるが、それ以外にも恐ろしい疑惑が残っているという。
- 死体と性行為を行った(本人は「匂いが不快」と否定)
- 近所に鹿肉を配ったという(本人は鹿狩りはしたことがないと供述・・・・何の肉・・・)
- 子守の際、子供たちにしなびた人間の頭部を見せていた
3番目も信じられませんが、2番目は事実なら最悪極まりない出来事です。
また、女性を何人墓から掘り返したかどうかについても、彼でさえ「覚えていない」という。
エド・ゲインの裁判
ここでは彼の裁判について紹介させていただきます。
2人の女性を殺害し、8人以上の女性の遺体を掘り返し、異常な性癖を満たすために損壊を繰り返した男に何の判決が下されたのか?
- 入院措置
- 初動捜査をした保安官の死
- 残された遺物
- 模範囚として
この順番で見ていきましょう。
入院措置
1958年11月11日に、エド・ゲインは2名の殺害により告訴された。
だが、弁護士側は精神障害を主張し、精神病犯罪者用州立中央病院へ移送された。
そこで再度検査した結果「統合失調症」と判断されて、出廷する能力はないとして治療の為に、マディソン郡のメンドータ州立病院に移送、治療。
入院から10年後の1968年に回復が確認されて、11月14日に裁判が開始された。
その結果エド・ゲインは
- バーニス殺害に対する第一級殺人罪
- 重度の精神病患者と認定
として、州立病院への無期入院が確定。
刑務所ではなく、ミネソタ州の精神病院で過ごすこととなった。
残された遺物
逮捕されて、無期入院が決まったエド・ゲイン。
彼の持っていた資産は全て競売にかけられ、その収益が彼のものになるという決定がされた。
当然、彼の入院判決に納得がいかなかったプレインフィールドの住人は怒り心頭。
住民が火をつけたのかは謎だが、エド・ゲインの家は謎の出火により焼失。
警察は住民の心情を考慮し、事件性の追求は行わなかったという。
また、彼が犯行に使った車は興行主のバニー・ギボンズが買い取って見世物に。
エド・ゲインの人食い車
として見世物にされたが、当然興行先で苦情が相次いで見世物の展示が中止に。
そして、イリノイ州での目撃を最後にその姿を消したという・・・・・。
模範囚として
州立病院に入院した彼は、温厚な模範囚として過ごしていたという。
職員や他の患者たちともすぐに打ち解け、リトル・エディと呼ばれるようになった。
日向ぼっこ、他の患者や職員と普通に会話をしているその姿からは
「人の死体を使って家具や服、食肉加工をしていたシリアルキラー」
とは伺わせることはなかったといわれている。
初動捜査をした保安官の死
実は、エド・ゲインの入院措置が決まる少し前にある保安官が死去している。
それがアーサー・シューレイ保安官。
尋問の際、取調室の壁に顔面を叩きつけるなどを行い、自白を引き出した方だった。
彼は
- 一連の事件の悲惨の現場を目撃したトラウマ
- エド・ゲインに暴行を加えたという責任
から、法廷で証言を行ったが、その全てが彼の心労となり、43歳の若さで心筋梗塞でこの世を去ったという。
彼の友人はこう答えた
彼も、エド・ゲインによって殺されたようなものだ
エド・ゲインの死去
入院措置が決定してから16年後の1984年7月4日。
彼は精神病院の老人病棟で、肺癌からの呼吸不全により死去。
77歳という人生に幕を閉じたのであった。
その墓石はプレインフィールド共同墓地に建てられたが、何者かによって複数回破壊され、その破片が持ち去られていったという。
彼に対して恨みを持っている人間とも考えられるが、彼のことを崇拝している人間の仕業ともいわれている。
今現在、墓石は新調され、ウォーシェラ郡保安局内で管理されているという。
まとめ: エド・ゲインというシリアルキラー
今回はシリアルキラーのエド・ゲインについて紹介させていただきました。
殺した人数よりもヤバいといいますが、普通に考えたら遺体を掘り返してそれを食器やマスクに加工する方がよりヤバいと感じますが・・・・・・。
後世の作品に多大な影響を及ぼした人物という評価も納得できますね。
という訳で今回のまとめ
- エド・ゲインはアメリカのシリアルキラー
- 母の偏った教育により異常な性癖を持つようになった
- 母に近い女性を2名殺害
- 母に近い女性の遺体を墓から掘り起こした
- 遺体を食器や服、マスクなどに加工していった
- 精神病院に収監されて最後までそこで過ごす
- 肺癌による呼吸不全により77歳で死去
コメント